以前、ディズニーシーの新アトラクション「ラプンツェルのランタンフェスティバル」を体験して、改めて劇中歌「輝く未来」の凄さを感じたので書いていこうと思います。
新アトラクション「ラプンツェルのランタンフェスティバル」
全体的にコンパクトなライドですがメインのランタンフェスティバルを船に乗って体験でき、シーンの雰囲気を肌で感じられる演出に感動しました。そして「輝く未来」が良い曲すぎる…!
「美女と野獣〜魔法のものがたり〜」以降、映画のストーリーを映画同様にミュージカル形式で展開するタイプのアトラクションがアナ雪、ラプンツェルと続いていますが、展開のわかりやすさや没入感が素晴らしいです。今後もどんどん増えてほしいですね。
本題
『塔の上のラプンツェル』のあらすじ
森の奥深く、人目を避けるようにしてたたずむ高い塔。そこには、金色に輝く“魔法”の髪を持つ少女ラプンツェルが暮らしていました。18年間一度も塔の外に出たことがないラプンツェルは、毎年自分の誕生日になると夜空を舞うたくさんの灯りに、特別な想いを抱き、今年こそは塔を出て、灯りの本当の意味を知りたいと願っていました。そんな中、突然塔に現れた大泥棒フリンと共に、ついに新しい世界への一歩を踏み出します。初めての自由、冒険、恋、そして、彼女自身の秘められた真実が解き明かされ…。(塔の上のラプンツェル|ディズニー公式)
ラプンツェルは年に一度夜空を舞うランタンの灯りを見ることを夢見てフリンと共に冒険に出ます。そしてついにその夢が叶ったシーンで歌われるのが、この「輝く未来」です。
「輝く未来」の解説
私が思うこの曲の凄さは"プリンセスの夢や自立とヒーローとのロマンスを同時に歌った新しさ"です。
曲の構成は
〈ラプンツェルのソロ〉→〈フリンのソロ〉→〈二人のデュエット〉
になります。歌詞を見ていきましょう。
いつもあこがれてた 一人
塔の中で
外の世界は どんなに素敵か今夜は星空の下 霧が晴れたように
やっと見つけた 私のいる場所輝いている 未来照らす光
夢をかなえた 特別な夜
世界がまるで昨日とは違う
ようやく めぐりあえた 大事なひと
いつも気の向くまま
一人 生きてきた
ほんとに大切なことに 背を向け今夜は僕のそばで
君がほほ笑んでる
やっと見つけた 僕のいる場所
輝いている
未来てらす光
夢をかなえた
特別な夜世界がまるで昨日とは違う
ようやくめぐりあえた 大事なひと
大事なひと
二人が見た光とは
サビで繰り返される「輝いている 未来照らす光」という歌詞ですが、言語版では「And at last I see the light」、「そしてついに光が見える」となっています。実はこの「see the light」は慣用句として別に「やっと分かる、真実を知る、世に出る」という意味も持っています。
see the lightの意味・使い方|英辞郎 on the WEB
この曲でラプンツェルは塔を抜け出しついに新しい世界を見つけた喜びを、フリンは孤独に生きてきた中でついに見つけた自分の居場所=ラプンツェルの存在を歌っています。
曲中で強調される「光」とは、浮かぶランタンの灯りと共にラプンツェルの夢であった新しい世界と二人が巡り合ったことで見えた新しい世界の二つを表していると考察できます。
また、言語版では最後に「Now that I see you」と歌っています。二人が見ているものが「光」から「あなた」に変わっているのがロマンチックで素敵ですね。
プリンセス作品におけるディズニーソング
ディズニープリンセス作品のメインソングとなるのは主にプリンセスの夢や憧れの曲またはプリンセスとヒーロー(王子様)のロマンスの曲の二つに分けられます。
前者は人間の世界に憧れる人魚アリエルが歌う「パート・オブ・ユア・ワールド」(リトル・マーメイド)、「夢まであと少し」(プリンセスと魔法のキス)
後者はプリンセスジャスミンと彼女に魔法の絨毯で新しい世界を見せる主人公アラジンが惹かれ合うデュエット曲「ホール・ニュー・ワールド」(アラジン)、「いつか夢で」(眠れる森の美女)が挙げられます。
しかし、「輝く未来」では前述の通り、「光」がラプンツェルが見た新しい世界と二人の新しい世界のそれぞれを表しており、”プリンセスの夢とラブロマンスを一緒に歌う”という異例のメインソングになっています。
『塔の上のラプンツェル』の新しさ
『リトル・マーメイド』(1989)以降、ディズニーはプリンセスを積極的に"王子様を待たない現代的な自立した女性”として描いてきました。ラプンツェルは自分の夢のために自ら冒険に飛び出て苦悩し、奔走します。『塔の上のラプンツェル』はディズニーの伝統的なおとぎ話をベースとしたラブロマンスもありながらその価値観は非常に現代的。
「輝く未来」のついに夢を叶えた感動を歌うラプンツェルの現代的な新しいプリンセス像と伝統的なディズニーらしいロマンチックさを融合させた革新性は、この作品を象徴しているとも言えるでしょう。
さいごに
「輝く未来」の歌詞を解釈しながら、改めて映画の作品性などについても考えてみました。
余談ですが、「輝く未来」の直前でラプンツェルが言う「夢が叶ってしまったら次はどうすればいいの」という問いと、それに対するクライマックスの「新しい夢」が本当に素敵です。『塔の上のラプンツェル』は曲中にも現れるそれぞれの夢や新しい世界の描写が美しく感動的な作品となっています。